私には9つ上の兄がいます。
3歳の頃に自閉症と診断されました。わたしは兄を兄と認められないまま長い間過ごしてきたかもしれません。そんな自分が本当に憎らしくて情けなくて嫌いでした。
気づけば、兄は今年で43歳、私は一児の母になっていました。まだ話せない赤ちゃんの息子をみていると、三歳で脳の成長がとまってしまった兄と似てるんです。“あー”や“うー”や言ってみたり、欲求のいら立ちからか奇声をあげたり二人交互にそんなことをしています。
息子にベビー・マッサージをした日は機嫌もよく、ぐっすり眠ってくれるんです。
もしかして、と思い不眠症の兄に足の裏をマッサージしたら、何度もトイレにいってニコニコしながらそのまま寝てしまいました。兄の足は普通では考えられないぐらいむくんだ足をしていました…。 その時はじめて必要だと思いました。
もっと早くにベビー・マッサージの様な触れ合いがあったら
兄の思春期にあんなに苦しまなくてすんだように思います。
思春期の頃の兄は、ひどい多動で奇声を上げては寝てる私をただいたり蹴ったりする毎日でした。9歳離れていて、普通より体の大きい兄の力はとてつないものでした。こんな家に生まれてきたことを恨んだこともありました。
そんな私が結婚、妊娠、出産…
私も母となり、母達の気持が痛いほどわかるようになりました。
こんな思いをしてほしくない
息子にベビー・マッサージを続けながら毎日感じるんです。
日に日に愛しさも深まり
日に日に強くなるんです息子の体が。
母の力、母の手、母の思い…
私はこの先の人生をそんな障害をもつお母さんの手となり心となりお話していこうと決めました。
こんなに人を大切に思える自分に育ててくれた両親や兄に感謝をしたい。
兄がいたから兄に障害があったから今の自分がいる。
兄のことをかくしていきてきた私がこれからは兄の事を大切に思って生きていこうと思えるようになりました。
今回この様な団体を立ち上げるにあたって、偽善者扱いされることもありました。
個人で施設にいっても相手にしてもらえないこともありました。
そんなつもりじゃないのに…
私が兄の事を表に出すことで主人や、主人の両親、親戚の方にも迷惑がかかるんじゃないだろうかと悩みました…
でも信じよう。
結婚するとき、初めて兄の事を主人に話したとき
“そんなこと大したことない”と受け入れてくれました。
主人の両親も優しく受け入れてくれました。
信じていこう。そして感謝していこう。
私は医者ではありません…できることなんて正直たいしたことありません…
私にできるのは分かち合いだけです。
でも、一人でも多くの方がこの先の人生、意味があって生まれてきて、意味があって障害があるんだっていうことを分かち合っていけたらいいなと思っております。
一人でも多くのお母さんとお子さんのお力になるために、歩んでいきます。